2014年~2015年、中国国内でAGVの新規メーカーが次から次へと現れて、数社から一気に百社近くのメーカーがAGVの製造を開始しました、スタートアップの会社もあれば、元々の機械メーカーもあります。無論市場の需要の後押しもありますが、1つ大きな原因はLiDAR製品の中国国内メーカーによる大量生産で個体のコストダウンにあります。競争が激しくなり、短い期間で性能を更新されてきました。この期間中の2015年にスタンダードロボット(standard-robots)が創業しました。中国では、スタートアップ企業の3年経過後の存続率がわずか7%、5年もたつと多くの企業が業界から消えていきます。スタンダードロボットは高い成長率をたもったまま、中国3C業界ではトップシェアになり、安定期に入ったと言えます。
①開発製品を決める
多くのスタートアップ企業は広範囲の製品を製造しています。AGV以外にもマーケットの需要があれば何でも作ってしまうというスタンスだ、実際には自動運転や製造ロボットやAGVなど広範囲に渡ってたくさんの製品を製造しているメーカーもあります。しかし、スタンダードロボットはとにかく移動、搬送製品のみと決めていました。その核心的な部分、最も重要なコントローラーに焦点を定めて深く掘り下げて行きました。また、当時では数少ないですが、SLAM技術でLiDARによるナビゲーションシステムを構築する方向も決めた、QRコードや磁気テープによるナビゲーションシステムはコストが安いが、製造現場の変化に柔軟に対応できず、将来性がないと判断をし、最初から選択肢になかった。ただし、2015年当時では、LiDARによるナビゲーションのAGVは開発経費が高いだけではなく、どれだけ柔軟に製造工程に対応できるかの証明は何もなかった、スタンダードロボットにとっては1つの挑戦でもありました。
②3C業界に標準を当てる
2017年、アリババによる11月11日の独身の日の1日の売り上げが1683億元(約2兆9000億円)に、EC倉庫の搬送ロボットの需要が急激に増えAGVの製造が間に合わないくらい市場が活発になりました、多くのAGV企業も方向転換をし、EC倉庫用のAGVに方向を切り替えた企業も多数ありました。ただし、当時のEC倉庫は基本的にQRコードと磁気テープで誘導しているので、スタンダードロボットが得意とする部分ではなかった。スタンダードロボットはやはりLiDARによるSLAMナビゲーションシステムを搭載した製品をクライアントに提供して行きたいと明白な方向はあります。自動車業界、新エネルギー業界、等々、色んな業界で試みたところ、最終的に3C業界に焦点を絞りました。
一方、3C業界の製造はApple、samsun、huaweiをはじめ、数多くのメーカーがひしめき合う情勢になりました。特にスマホの機能の更新が早くなり、1つの機種で大量の販売が難しくなり、マイナーチェンジが頻繁に行われています。製造現場でも市場の要求に合わせて柔軟に対応しなければならない。ここでは、床を改造しない、自由自在に動けるLiDAR式のSLAMナビゲーションAGVが重宝されます。(ちなみに、Appleの下請け工場FoxconnとHuaweiはスタンダードロボットの製品を多く使用しています。)
③2年でトップシェアに
現在中国の3C業界でのAGV納品数ではスタンダードロボット社のOasis300/600の2機種がダントツのシェアを誇っています。しかし、ここまで来た道も平坦ではなかった。なにせAGVは3C業界での応用はほとんどなく、利用側もAGVメーカーも経験が少なく、お互いに模索しながら一回一回困難を克服して行くしかない。工場の既存MESとAGVコントロールソフトFMSのシームレスなドッキングだけではなく、製造現場の要求をすべて満たし不安を取り除いてから初めて導入を決めて頂けるので、現場でのすり合わせ、設置後の調整はたいへん時間がかかる作業でした、地道な努力でスタンダードロボットのAGVは3C業界内でも評判がよくなり、2019年には前年度の5倍の売り上げを達成しました。いままで請け負った100個ほどのプロジェクトはそれぞれ使用環境、動作の要求、システムの融合等々、すべてが異なり、調整や稼働までのサポート内容も様々でした、これらをこなしてきた経験とノーハウでさらにクライアントに良いサービスを今後提供できると信じています。
④現場主義
2015年~2017年の間に、スタンダードロボットは同業者にもAGVを提供していました、しかし、提供したAGVがどのように導入され、どのような現場で稼働されているのが分からず、AGVの稼働実態が見えてこないので、その後すべての導入先の現場調整を自社で行うことにしました、代理店経由の納品現場もサポートは自社スタッフが担当するようにしました。これによって、自社の製品の稼働状況も把握できて、すべてのプロジェクトの内容も管理できる。なにより、現場より得た知識、経験が今後の製品に反映できるので、いまは基本的にすべてのAGVが本社スタッフがサポートをする形になっています。
2020年1月10日